行田 一貴       『夢雲の経験』

 夢雲で私が経験したことで一番大きいと思ったことは人の多様性です。

 夢雲という組織の最大の特徴は、目的を共有しない部活なのです。
違う思想を否定することは簡単ですが、受け入れることは難しいことなのです。

 例えば、私は学業を優先し週2日を絶対条件である運動部に入部希望しました。
一生懸命やると交渉したが、まったく聞き入れられなかったのです。
 私の考えは部活に有害と捉えられたとも思えます。
 私の考えの是非はどうであれ『毒にも薬にもならない』という諺があるように、
害を恐れて刺激を避ければ何も無いものが集まるのです。

 夢雲の中では思想の違う人も多数存在します、根本の陶芸自体薄っぺらな定義に感じるほどで、
芸術、実用、制作活動と陶器自体のとらえ方も自由なのです。

 そんな中で部分的に受け入れあい、時に協力する柔軟な姿勢でこそ、
普段集まるはずの無い情報が集まり、アイデアや発見があるのだと思います。

 陶芸教室に来ても一度きりだったり、陶芸以外のことに大学生活を開花させたりするのも良いのでしょう。
 夢雲に集まる人はまさに十人十色で絵の具のようで、混ざってこそ新しい色が出て、
違う色があるからこそ自分が際立つ。  それは、陶芸という小さな枠でとらえているからではなく、陶芸という小さな枠を通じで様々な人が見られる。

 そんな、経験を貴重だったと感じています。



高橋 正樹

 私が夢雲に参加し始めたのは大学4回生の頃からでした。
 初めは右も左もわかりませんでしたが、私は比較的器用な方だったので
基礎を習得するのにさほど苦労はしませんでした。

 私の特技は「吸収」。

 なので夢雲にある作品をどんどんマネする事でスキルを身に付けました。

 私が夢雲に行くことで学んだこと、それは

「自己を見つめ直すこと」です。

「陶芸には心が出る」なんて非化学的な考えをもった化学者の私だったのですが、
気分によって作品のできが変化したのは事実でした。

 そして、心(気持ち)のコントロールが上手になりました。

 あとは色々な学科、年代の人に出会い交流する事で、
今まで知り得なかった「知識」、そして「教養」が身につきました。

 まぁ総評しますと、ほんと楽しい場所だったなぁ、と思いました。



梶本雄平

 私は、一回生の後期から夢雲での活動に参加していました。

 夢雲に参加したきっかけは、大谷先生の講義で配布されたプリントの裏に書いてあった、 夢雲の宣伝を見たことです。昔から陶芸はしてみたいと思っていたので、陶芸講習会に参加しました。

 初めて作った陶器は丹波黒の大皿で、今でも家で使っています。

 そこから夢雲スタッフになり、外部の方向けの講習会のお手伝いや、備前焼の窯を見学に行ったり、 フリーマーケットでの陶器販売や工大ウォッチング大賞へ出品するなど、いろんなイベントに参加しました。

 とても楽しく、充実した大学生活でした。  私は、主に手捻りでお椀を作ってきました。

初めはぐにゃぐにゃで、きれいな形にはなりませんでしたが、何度も練習し、だんだん上手に作れるようになっていきました。

きれいなお椀を作るためには、土全体に均等に力を加えて、厚さを一定に保つことでした。

一度に力を加えるのではなく、やさしく何度も力を加えること。そして落ち着いて根気よく続けることで、 器の形は整っていきました。

 一度で一気に完成しないこと、落ち着いて取り組むこと、根気よく続けること、私はお椀作りを通して学ぶことができたこの三つは、 陶芸だけでなく色々なことに当てはまると思い、これからも大切にしていこうと思います。

 夢雲には特別用事が無くても立ち寄ることが多くありました。なぜだか夢雲に来ると気持ちが落ち着いてきて、 とても居やすい場所でした。スタッフたちの人柄が良く、集まっていたくなるような、そんな雰囲気がとても好きでした。

 私は、夢雲での活動に参加できて、本当によかったと思っています。



宮田 航行   『夢雲スタッフ体験記』

 私が夢雲に参加したのは一回生の後期からでした.

 最初はスタッフになるつもりはなく,純粋に陶芸を経験してみたいという気持ちから講習会に参加したのがきっかけでした.

 その後も何度か講習会に参加していくうちに陶芸の楽しさ・奥の深さに惹かれ,気がつけばスタッフになっていました.

 部活動やプロジェクトに途中から参加することに気後れがあった私でしたが,夢雲の顧問,講師,スタッフ, みんなが気さくな方たちですぐに馴染むことができました.

 夢雲では,他学科・他学年の生徒はもちろん,講習会に参加してくださる地域の方と一緒に活動していくので, 意見がぶつかる事もありますが,自分一人では思いつかなかったような発想に出会うこともありました.

 また,キッズものづくり道場,お母さんものづくり道場にスタッフとして参加することで, 「ものづくりを教える」ことの楽しさ,難しさを体感することができました.

 夢雲(陶芸)での「ものづくり」は,決まりもありますが,個人の感性によるところが大きく, 自由な発想でものづくりを楽しむことができます.

 「型にはまることのない自由なものづくり」,それが私が夢雲に対して抱いてきたイメージであり, 夢雲での活動が私の大学生活をより豊かなものにしてくれました.

 4年間という大学生活の中において夢雲で過ごした時間は,私にとって非常に有意義で貴重なものとなりました.